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My important place【D.Gray-man】

第41章 枷



「あんたらもう面会済んだろ! とっとと帰ってくれ!」

「ええー!?」

「ヤダーっ! 帰っちゃヤダーっ!!」

「置いてかないで下さいぃい!!」

「う、わわ…っ」


 怒り任せに帰れと急かすガルマーに、弾けるように柵の隙間から腕を伸ばしたジジ達がモヤシの腰に抱き付く。
 その顔から涙と鼻水まき散らして。
 クソ汚ぇが、ずっと拘留されていたんだろう。
 その気持ちはわからなくも…ってちょっと待て。


「……」

「…何?」


 ジジ達を見て苦笑いする雪を、思わずガン見する。
 目が合えばきょとんと不思議そうに返してくるこいつは、違和感なく当たり前に此処にいる。

 ジジ達がずっと拘留されてたんなら、雪もずっと此処にぶち込まれてたんだろう。
 見たところ周りは全員野郎共。
 Gに操られてたにしろ、囚人であることには変わりない。
 そいつらの中に女一人放り込むなんて、何考えてやがるここの警察は。


「お前、何当たり前に過ごしてんだよ。自分の立場を疑問に思え」

「え? 何が?」

「……」


 思わず溜息混じりに突っ込めば、本気で疑問符を浮かべてくる。

 …俺と任務先で同室に寝泊りすることになっても、男だ女だ気にしていなかった奴だ。
 当たり前と言えば当たり前の反応かもしんねぇが…俺は良くねぇんだよ。


「うーん…すぐ釈放できないにしても、雪さんをこの中に置いておくのは見過ごせないし…ガルマー警部。彼女だけでも別の独房に移せないんですか」


 モヤシも俺と同じことを考えていたらしい。
 その提案に、ガルマーは渋い顔で首を横に振った。


「そうしてやりたくても、如何せんこれだけの人数だ。独房は何処も一杯なんだよ。一人だけに空けられるスペースはない」

「ああ。私は大丈夫だよ、アレン」


 そこでやっと気付いたのか。ああ、と頷きながら雪がモヤシに呼びかける。
 苦笑混じりのその顔は、本気で気にしていない様子。

 ファインダーとして体を鍛えて下手に一般人より腕が立つ分、こいつは危機感が足りてない気がする。

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