第6章 源泉
「…今日はこのまま寝る?」
「え、いいの?」
普段は絶対服着てから寝るのに。風邪ひくし!って。
「うん。特別」
「じゃ、風邪ひかないように、すっごいくっついて寝よっか♪」
「…雅紀」
「うん?」
「ほんとに、大丈夫…?」
「…」
もうホントにすっかり元気。俺はきっと、杏奈がいれば大丈夫だよ。顔見ただけでチャージできてる。『おかえり』だけでもう十分。それ以上なんて望んだら、きっとバチがあたる。
でも
こんな素直に甘えさせてくれるなんてそうそうないよ!?
もうちょっと、見たい。
なので
「どうだろ…大丈夫…じゃないかも…?」
「えっ」
「ね。もうちょっと、くっついていい?」
「う、うん…」
ちょっと戸惑い気味の杏奈を、すっぽり包み込む。
はあぁぁぁぁ…
ホント、女の子のカラダって、なんでこんな気持ちいーんでしょうか。どこ触っても柔くて、スベスベで、もちもちして…。
神様、ありがとう。アナタは天才です!
あー、なんか、ちょっとヤバイ。また元気になってきたかも、俺…。ちょっとチャージし過ぎちゃったかな~。
「…」
さすがにもっかい、とか言ったら怒るよなー…。無言で服着て寝ちゃうね、きっと。ふふふ。
「…雅紀、もう寝た…?」
「うん」
「起きてんじゃん(笑)」
「ふふっ。もう寝るよ」
「うん。…おやすみ。お疲れ様でした」
うん。まあ、今日はおとなしく寝ましょうか。ね?いい雰囲気だしね。ていうか、コンサート後で死ぬほど疲れてたんだよ、俺。忘れてた。
でも、こんな可愛い杏奈、久しぶり。いや、いつも可愛いけどさ、ちょっと天邪鬼だから。ほら、ニノに似て。本音見えないとこあるって言うかさ。
だから、今日は嬉しかった。俺のこと、そんな風に思ってくれてるんだって。そんな杏奈が見れて。
だから、さ。たまにはいいよね?
『落ち込んでるフリ』とか、しちゃっても☆
(いや~、俺の演技もまだまだ捨てたモンじゃないね?)
2011/7/1