第2章 返信不要
あ~…そうだよ、これ。絶対そう。
よくさ、枕元で寝る前にその日あったこととか話すんだよ。エッチした後とかだと、グッタリしててさ、彼女、半分死にかけ~みたいな目で、「聞いてる、聞いてる…」って言いながら、返事テキト~になってく…アレ。あのパターン。
ま、黙って寝かしゃいいのに、その様子がおもしろくて、ずっと声かけちゃう俺も俺だけどね。
枕元で見てるとさぁ、徐々に彼女が睡魔に誘われていくのが、すげーよくわかんの。完全に落ちるまで、俺、ずっと見てるもん。俺だって超眠いんだけど、こうやって愛しい人の寝顔眺めてられるのって、幸せだよなーって…
あーッ!ちょっと、なに思い出させてくれてんだよ!…も~っ!!ホント、マジ勘弁。すっげガマンしてんのにさ、こんなリアルに思い出したら
思い出したら
…会いたくなるじゃん
会いたくて会いたくて
たまんなくなっちゃうじゃん…
「…ハァ」
次会えんのいつだっけ…週末?いや、もうちょい先か…
ため息混じりに、最後のメールを送った。
【俺も愛してる。つか、
俺の方が愛してるって。
もう寝よ、マジで。
お休み!返信不要!!】
…はぁ
やばい。寝れっかな。ちょっと興奮しちゃってんじゃん、俺。
しっかし、夜ってこえーな。こんなバカップル的なメール、普段は絶対ありえ―――
だぁぁぁぁ!!!
ちょっと待て!チョー恥ずかしいんですけど、俺!!
ちょ、何書いた!?
(ただいま、冷静な俺!)
…『俺の方が愛してる』
ハァ!?なに甘酸っぱいこと言っちゃってんの!?誰?これ!
つか、「愛してる」なんて、冗談でも言ったことないんですけど!!
「…寝よ」
今夜のメール、次会ったら即・抹消だな。
…うん。
(よかった、同じ機種にしといて)
2011/7/12