第39章 SandwicH WorlD
琴乃はキョウヤの寝ている部屋に
サンドウィッチを持って入った。
琴乃は寝ているキョウヤに
「朝ご飯のサンドウィッチだよ」と、
小さく声をかけ、
使われていない横のベッドに箱を置いて
立ち去ろうとくるりと体の向きを変えた。
そのとき・・・
「・・・中身何?」
琴乃の背後からは小さく、
気だるそうな声がした。
それは紛れもなくヒーローの、
キョウヤの声だ。
琴乃は驚いて目を丸くしたまま
ゆっくりと振り返ると、
目をうっすら開けて、
微笑みながら問いかけてくるキョウヤがいた。
『キョウヤくん・・・!!』
琴乃はタッとキョウヤに駆け寄った。
「よっ。久しぶりだな、琴乃
・・・っイテテ」
キョウヤは琴乃に声を掛けながら
痛む体をゆっくりと起こした。
琴乃はどうしていいか分からず、
少しあたふたした様子で
キョウヤの体を支えながら
起こす手助けをした。
『よかったぁ・・・目を覚まして・・・!!
心配した・・・!!』
「・・・そうか、サンキューな
あ~・・・体イテェ・・・」
そう言いつつ手にはすでに
箱を開けてサンドウィッチを持っていた。
キョウヤはそれを頬張りつつ、
「ほーひへあ、なんへ、なはへわはんほ?」
(訳:そーいえば、なんで、名前わかんの?)
と、琴乃に問いかけた。
琴乃はキョウヤの様子と
頬張りながらしゃべった滑舌の悪さに
クスクスと笑い、
『リュウトくんに聞いたの』と答えた。
「ふーん」
キョウヤは適当な返事を返した。
その適当な返事に
またしても琴乃はクスクスと笑った。
(やっぱり、あまり仲良くないんだなぁ)
そんな風に微笑ましく思った。