第38章 BreakfasT WorlD
『ねぇ・・・アプロディティ。』
琴乃は暗闇の中で、
さらに奥の闇に話しかけた。
「・・・ん?」
アプロディティは姿を見せずに返事した。
『私ね、お母さんにもう一度会いたくて・・・
また一緒に過ごしたくて・・・
その願いを叶えるために、
このFゲームに参加しているんだ。』
「うん。知っているよ。
あなたの心は私に繋がっているもの」
『そっか・・・じゃあ、もう何を言いたいのか
わかるんだよね・・・』
「そうだよ。
・・・いいの?願いを変えてしまっても」
『・・・うん。
お母さんに会いたい、生きていてほしいって
そう思うけど・・・
もうなくしてしまったものを願うより、
まだなくしていないものを想いたい・・・
そう思えるの・・・!!
アプロディティ・・・それでもいい?
それでも力を貸してくれる?』
琴乃がそう言うと、
暗闇のあちこちに光の粒ができ、
それが集まったかと思うと
光の固まりは幼い頃の琴乃の形に、
アプロディティになった。
「琴乃が望むなら、私もそれを望んでいる。
言ったでしょ?あなたは私、私はあなた。」
アプロディティは目を瞑り
光の粒となって消えていった。
(・・・ありがとう・・・)
琴乃は瞳を閉じて、そう心で呟いた。