第35章 BikE WorlD
遠くの方で声が聞こえた。
少年一人、女の子一人。
高校のだと思われるブレザーを着た兄と
ランドセルを背負った妹の兄妹だ。
「お兄ちゃんへたくそだぁ~!!
あははっ!!」
「うっ・・・うるせぇなぁ!!
お前が重いんだよ!!
・・・っ!!イッテェ!!
何すんだよ!!叩くな!!」
「お兄ちゃん!!女の子に対して失礼よ!!」
「はははっ!!なんだそれ!!
悪かったよ」
「いいよ!!
それより、もっと速く漕いでよっ!!」
兄の漕ぐフラフラと
左右に揺れる自転車に乗る妹。
兄は必死、妹は楽しそうに笑っている。
だが、
よく見ると兄も楽しそうにしている気がした。
『あ~ぁ~、危ないなぁ~
でも、仲良さそう!!』
琴乃は危なっかしくも感じながら
兄妹を微笑ましく眺めた。