第24章 NameS WorlD 2
立ち尽くす琴乃。
花の冠も、炎がよけたのも、
<聞こえない所>だった。
思い出せなかった。
<嫌なことは記憶から消し去る>
それは人間の、
自分の特技かもしれない。
『そっかぁ・・・
消し去ってたんだ・・・
それでも
私のそばにずっと居てくれてたんだ。
そう。
小さい頃に「誰もいない所に話しかけている」
って言って虐められていた。
思い出した。
私とお母さんにだけ見えていたんだね。』
琴乃は目に涙をためていた。
「そっか。良かった。
思い出してくれた?」
少女は今までで一番優しい顔で笑った。
『うんっ・・・!!』
琴乃は目から大粒の涙を流した。