第1章 お揃い
「私は赤色が好きだからだ」
加州は黙ったまま微かに頷いた。
「あとは、お世辞抜きで可愛いと思ったからだな」
「…本当?」
「本当」
「俺、可愛い?」
「すっごく可愛い。大好きだ」
私はぎゅっと加州を更に抱き締めた。
うっと苦しそうな声を漏らされたが関係ない。
「俺もアンタが好き…大好き……愛してる。主」
主従関係にヒビが入ったかもしれないが、これで良いのだ。
お互いの気持ちを知る事が出来た。
それだけで嬉しい。
加州は相変わらずネイルを塗れとうるさいが、アイツからも私にネイルを塗って貰える時がある。
お互いの気持ちを繋げる様に。