第8章 復帰命令
ーin院長室ー
コンコン。
本当はノックも無しにドアを開けて、驚かせてやりたいぐらい。
けど、それは大人がすることじゃない。
「どうぞ」
中から返事を聞いてから、ドアを開ける。
「失礼します」
「ようやく来たか」
「なんの用ですか?」
会って数秒と経たない内に、話を切り出す。
「いや、そろそろ戻って来ないかと思ってな」
いきなりの質問に少し言葉を詰まらせるも、本題に入る院長。
「え…?」
それって、つまり…。
「この病院に、だよ。
前と同じく外科と救命の掛け持ちでな。
給料は高く出すし、定時までで良い。
緊急の呼び出しは、あるかもしれないがな。
どうだ?悪い条件じゃない筈だ」
定時で帰れる…?
都合の良過ぎる話であることに、違いは無い。