第5章 本領発揮
ーL sideー
「あ…」
「どうした?L」
「来たみたいですよ、月くん」
「月が?」
「かなり焦っている様ですが、どうしたんでしょうか」
彼にしては珍しい。
モニターに目を写すと、扉の前で忙(セワ)しなくウロウロしている月くんの姿が確認出来る。
「今ワタリは居ませんから松田さん、あなたが連れて来てください」
「はいっ」
恐らく、ワタリは当分戻って来ない。
雪を1人で置いておくな、と常日頃から言ってますので。
松田さんと共に入って来た月くんは、どこか正気を失っているようにも見えますね。
「どうかしたのか?月。
こんなところまで…」
“ こんなところ ” と言う表現には納得いきませんが、まぁ良いでしょう。
「父さん、粧裕を知らないか⁉︎」
「落ち着け、月。
一体なんの話だ?」
「そうです月くん、ひとまず落ち着いてください」
慌てた彼を見るのも楽しいですけど。