第4章 1つのポッキー
しばらくすると、慌てた様子で戻って来た。
「どうしたの?」
急いで荷物を片付け始める月くんに、問いかける。
「うん、ちょっと…」
決して理由は喋らない。
「ごめん、俺用事あるから」
そう告げて、走り去ってしまう。
「どうしたんだろう…」
1つ考えられるのは、あの電話が関係してるってことだけ。
『では雪も戻ってください。
監視対象が居ないのでは、大学に居ても意味はありませんし余計な虫が付くだけですから』
虫…?
まぁ、いいや。
Lの指示で私も荷物をまとめ、帰る支度をする。
「え、か、帰っちゃうの?」
「ええ」
名残惜しそうな顔をしている彼は無視して、大学を後にする。
大学を出ると、校門のすぐ側に止まっているワタリさんの車に乗り込み、ホテルへと戻る。
「あ、メールだ…」
携帯が鳴り、画面を確認すると…。
珍しいことに、Lからだった。