第3章 甘党×フルーツ党
「はい、どうぞ」
「ありがとうです」
Lの前にはスイーツを、自分のところには果物を置く。
「雪ちゃんも甘党?
あ、フルーツ党か」
「…かな」
そんなこと考えたこと無かったけど。
お皿の上にある色とりどりのフルーツの中から、1番好きなマスカットを1粒取り、口に運ぶ。
口内に広がるフルーツ独自の甘みに、自然と顔が綻ぶ。
「美味しい…」
「(か、可愛い…)」
いつも凛としている彼女とは違う、ギャップに胸が高鳴る。
「1つ食べる?」
ジッ、と見つめていたのを何か勘違いした様子の雪。
「苺と巨峰、オレンジがあるけどどれが良い?
マスカットはあげないけど」
と、また1粒マスカットを口に運ぶ。
「えと、じゃあオレンジで」
オレンジの酸味が、頭を覚まさせてくれそうな気がして。
「どうぞ」
差し出されたオレンジを口に含むと、程良い酸味と甘みが口の中に広がった。