第12章 場所を選ばず…
窓から差し込んで来る朝日で目を覚ますと、手は繋いだままだった。
それどころか寝る前よりも強く握られている気がする。
「おはようございます。
良く眠れましたか?」
頭上からLの声がした。
「それは私が聞かなくちゃいけないセリフだよ。
でも良く寝れた。
あなたのお陰で」
Lが近くに居てくれるだけで安心する。
Lの温もり、鼓動、声、存在全てが。
あのことがあってから安心出来る時間が極端に減った。
でもそれもLのお陰で保たれてはいる。
ゼロじゃない。
「それは良かったです」
クスリと笑みを浮かべた。
「とりあえず簡単な検査だけしても良い?」
「どうぞ」
脈拍を測り、心拍を聞く。
「うん、熱は大分下がったみたいだね」
「では退院…」
「今日なんともなかったらね」
「…はい」
納得のいかない顔。
そんな顔したってダメなものはダメ。