第11章 眠り王子の目覚め
双葉くんはステーションへ戻り、私はそのままLの病室に残る。
「っ…」
「竜崎?」
わずかに指がピクリと動いた気がする。
「…おはようございます」
人の気も知らずに呑気に挨拶。
「今はお昼だよ」
「ではこんにちは」
「そうじゃなくて…。
とりあえず手を握ってみてくれる?」
確認をしないと。
Lの右手に自分の手を持って行く。
するとギュッと握り返してくれる。
「はい、離して」
「離さなきゃダメですか?」
「ダメ」
「はい…」
渋々手を離すL。
「問題なし、完全に意識戻ったね」
「じゃあ退院させてください」
「今すぐには無理だよ」
「出来るだけ早くお願いします」
「分かってるよ。
じゃあ私行くね?」
「はい、また来てくれますよね?」
「うん、また来る」