第27章 特殊能力10
小鳥遊侑莉side
『...ぐっ....ぁあ...』
ボスがゆっくり倒れ込む。
腹部から大量の血が流れている。
燐斗はナイフを放り投げ、ふっ、と笑った。
「オネーサン、やっと助けてあげられるよ」
不気味な笑みをこちらに向ける。
それは歪んだ愛の象徴。
ゾクリと寒気を感じた。
「やっと、やっとだよ。オネーサン、僕のそばに居てくれるよね??」
頬についた血も気に止めず、歩み寄ってくる。
無意識のうちに私は後ろへ下がっていた。
「どうして、どうして逃げるの...?」
立ち止まり、燐斗は悲しそうな表情を見せた。
苦し紛れにも、言い訳は出来なかった。