第24章 特殊能力8
「泣かないよ、もう泣かないって決めたから」
まるで、私よりずっとずっと前から生きていたような言い草だ。
「哀れだ。あんたは、まだこれからがあるのに。くだらない言い訳を並べてると私みたいになるぞ」
「いいんだ。素直な言葉を出したところで、大人は助けちゃくれないから」
また笑った。
なんで。
嬉しくもなんともないことなのに。
「お姉ちゃんは助けてくれる?僕のこと」
「私が助けてやれたなら、人なんか殺さないさ。私は、そこらへんの大人よりもっと悪い」
立ち上がると男の子も立ち上がった。
ギュッと服の裾を握る。
「僕はお姉ちゃんに助けてもらいたい」
「もっと優しい大人を見つける事だ」
パシッ
男の子の手を振り払うと、私は走り出した。
汚いこの手で、君を助け出したなら。
君はこの色に染まってしまうだろう。
そうしたら、君は今よりきっともっと酷くなる。
分かってるのかい?
君はまだ、子どもなんだよ。