第24章 特殊能力8
漣音side
颯希がさらわれた。
居場所は分かってる。
今すぐにでも助けに行きたい。
けれど、そうできないわけは手段がないこと。
車で行こうにも時間がかかり過ぎる。
「どうすんだよ...!!」
もしかしたら、颯希に何か被害があるかもしれない。
暴力を受けて、衰弱してるかもしれない。
「漣音、落ち着けよ」
「落ち着けねぇよ!!!」
俺らの代わりにさらわれた颯希を。
どうして今すぐにでも助けに行けないんだよ。
本当はさらわれぬよう守るつもりだったのに。
「漣音。冷静に考えて助けに行くんだ。興奮して正しい答え出せないんじゃ意味ないだろ」
渚人の言葉に納得する。