第19章 特殊能力4
「どうして、蒼汰くん。もうお別れだよ。いま会ったら、すごくツラく....」
言い終える前に、蒼汰くんは私を抱きしめた。
何も言わず、整わない息をしながら。
「また会えるよ。お別れしても、絶対に僕がさあちゃん見つけに行くから。さあちゃんが僕を忘れても僕が覚えてる。僕は絶対に忘れないよ」
だから、
蒼汰くんは続けた。
「いまはお別れしよ。バイバイじゃなくて、またねって。」
親の都合で、私達は出会ってしまった。
どこの誰よりも一緒の時間が多かった。
だからこそ、お別れなんてしたくなくて。
また会うことを誰よりも望んだ。
「...うんっ....」
バイバイじゃなくて、またねを。