第19章 特殊能力4
しなくちゃダメなんだよ。
男の子は言う。
女の子より2つ上の男の子には分かっていた。
これから起こる事も、パパがイケないことしてる事も。
「パパがね、言ってたよ。お引越しするって。さあちゃん達はここに残んなきゃいけないって」
「やだあ!」
幼い女の子にとって、男の子は特別だった。
それは男の子にとっても同じこと。
だけど分かってた。
これは、現実は、
凄く残酷なんだって────
「僕もやだ。でもパパが....」
「もう、お別れ?...」
「....うん。お別れだよさあちゃん」
女の子に差し出した手のひら。
彼女はギュッと握った。