第2章 episode1
「行くよ」
ぐっ、と強く引っ張られ本日2度目の連行。
ゲスト席とやらは芸能人や彼らが特別招待した人達しか座れない、ファン曰く神席。
そんないい席に座れるなんて、有難い。
しかし、ゲスト席はステージから近い近い。
どこからでも近いこの席。
「ここの階段をまっすぐ登ったらゲスト席」
と、呟くように言い、彼は微かに微笑んでテクテクと登場する場所へ行ってしまった。
本当に登ればすぐだ。
こんなところまで、優しい人なんだな。
ちょっと彼へ好感度が上がりつつ、階段をゆっくり登る。
ざわついた会場がもっとざわつく。
ライトがとそれぞれ登場する方へ向けられた。