第2章 episode1
「いいんじゃなーい?俺、君が見てくれるなら頑張ちゃおっかなー」
見てなくても頑張っていただきたいです。
「まあ、もう始まるし。ゲスト席で良いなら夏希ちゃんに頼んでよ」
漣音さんはそう言って楽屋を出て行く。
連れて来た本人が無責任だ。
「ごめんねぇ。そろそろ僕たち出番だからさ」
「ゲスト席、連れて行ってやる」
ぐっ、と渚人さんが私の手首を掴む。
いきなりで私は目をぐるっと、大きく見開く。
「そうだね、渚が登場するのゲスト席から近いもんねぇ!」
ふふふ、と微笑みながら瑠都さんはスキップで行ってしまった。
こんな無口で喋っても一言ぐらいの勢いな人となんて、なんか怖いんだけど!...