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銀の風

第3章 トラブル in 会場


カランッ


軽く優しい鈴の音が、賑やかな店内に響く。


「いらっしぇーい!!」

いつもの受け答え方。


「ご注文はー?」

丁度昼飯時、店の中にはそれなりに客もいた。

今入って来たらしい客に背を向けたまま
注文を訊く。



「おじさん、ステーキ定食お願いっ!」



思いの外若々しかった返事に、俺は顔を
あげて見た。


そこには黒いフードを被り、小さなウエスト
ポーチを付けた少年が1人。

フードから覗く顔にはまだ幼さが残り、
人懐こい笑顔を浮かべている。


「…焼き方は?」

100人に1人位は注文する内容に、何気なく
焼き方を訊く。


「弱火でじっくり!!」

「あいよー」


……ハンター志望者か。


案内役の女店員にアイコンタクトを取る。

「お客さん、奥の部屋どうぞー」

女店員に案内されるままに歩く少年が厨房の
横を通り過ぎる時、一声掛けた。



「坊主」

キョトンとした顔で振り返る少年。

その澄んだ瞳は綺麗な黄緑色で、一切の穢れ
を感じさせなかった。

「……頑張れよ」


気付けば、そう声を掛けていた。

「うん!ありがとう!!」



ニッコリ笑った少年を、俺は静に見送った。




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