第5章 婚約告白
「ちょ、お父様⁉︎どういうことですかっ⁉︎」
「まぁまぁ、落ち着け詩織。」
父は冷静な様子でそう言った。
パニックになっている私の耳に
マイク越しのまなくんの声が響く。
「詩織。」
いつもと違う呼び方…。
私は周りに促され、渋々ステージに上がった。
「もう名前で呼び合う仲なのかっ!」
そんな声が出るのを待っていたかのようにまなくんは、
「詩織、好きだよ。」
そう言ってまなくんは顔を近づけてくる。
キスされるっ⁉︎
そう思った時、
「ごめん、しおちゃん。フリだけだから。」
目の前のまなくんはいつものまなくんに戻っていた。
けど、顔の近さに心臓の音は鳴り止まない。
大人たちから冷やかしの声がとび、
父はなんだか苦い顔をしている。
《成瀬グループと若宮グループの婚約》
この一連の出来事大きなニュースになった。