第2章 領土めぐり
「アリス、帰ったのか」
「お帰り…アリス…私を助けてくれ」
グレイはグツグツと煮たった薬をナイトメアに飲ませようとしていた
見るからに熱そう
「はっ早くたすけてくれ!!」
「はあ、グレイ…薬かして!ナイトメアを抑えてくれたら飲ませるから」
「ひぃ!なっ何するんだ!アリス!!」
薬を飲もうとしないからよ
「はい、ナイトメア!あーん」
アリスはナイトメアの口の中に薬を突っ込んで無理やり飲ませた
「うう、皆酷い」
「ひどくはないわよ」
アリスはベッドに横たわるナイトメアの横で本を読みながら答える
「…で、他の領土はどうだったんだ?」
「いつもと変わらないわね」
いつもと変わらない…
だけど私の事を忘れてしまっているダイヤの城のクリスタとシドニー、初めていくスペードの塔のスノウとフラワー
その4人の存在が引っ掛かる
「…じきに慣れるさ」
この世界は時間も記憶も何もかも曖昧で
何かを忘れている気がするけど思い出せない
「思い出さなくてもいいんだよ」
周りの皆はそう言っている
「まあ、残ると決めたのは私だからね」