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青い果実【NARUTO】

第11章 波の国〜想い〜




カカシと再不斬の戦いは、最早命の削りあいだった。

カカシのほうが幾分優勢でそれは時を追う毎に差を広げていき、

勝敗が決まったのはカカシが再不斬の右手にクナイを突き立てたときだった。


「……ぐっ!!」

再不斬の重い呻きが微かに漏れる。

「これで両腕が使えなくなったな。印も結べないぞ」

二人の戦いは決した。

先ほどまで視界を奪っていた霧も、殆ど残ってはいない。





刹那。

数十人もの手下を従え、男は現れた。

「おーおー、派手にやられてぇ。がっかりだよ…再不斬」

白髪に丸いサングラス。
黒いスーツにステッキを手にした小柄な男。

再不斬の雇い主で、この国を苦しめている
ガトーだ。

「ガトー…どうしてお前がここに来た?それになんだ、その部下共は」

再不斬の言葉にガトーは薄汚い笑みを貼り付け、声も高らかに言い放つ。

「弱ったお前らをまとめて殺すためだよ。金のかからん、いい手だろう?」

そして嘲るように喉を鳴らした。

ガトーに連れられた破落戸たちも一緒に、下卑た笑いで再不斬を見下す。


「カカシ…すまないな。戦いはここまでだ。お前と戦う理由がなくなったようだ」

「……ああ、そうみたいだな」

カカシにそう断り、再不斬はガトーへ向き直った。

ガトーはそんな再不斬の視線を煽るように、横たわる白を見つけると近寄り、鼻で笑う。

「死んじゃってるよ、コイツ」

言うばかりか、あろう事にも足蹴にしたのだ。


それを見たナルトは憤慨し、何も言わぬ再不斬にまで罵倒を浴びせるが、それをカカシが制した。


両腕が使えない再不斬は口にクナイを咥え、ガトーに突っ込んでいく。

鬼は消えかけた命の灯火を罪の業火で燃やし、咎人を地獄へと引き摺り下ろした。

血涙を持たぬはずの鬼は、一筋の涙と共に最期を迎えた。


白にとって再不斬が全てであったように

再不斬にとっても白は掛け替えのない存在だったのだ。

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