第11章 波の国〜想い〜
濃霧は見る間もなく晴れてきた。
カカシや再不斬だけでなく、ナルトの姿も目に入る。
それにいち早く気づいたサクラは安堵し、大声で叫んだ。
「ナルトォー!!無事だったのねー!!」
リエとタズナもそちらへ目を向ける。
そういえば、いつの間にかあの強烈なチャクラは感じられなくなっていた。
「ナルト!!サスケくんは!?」
サクラの問いに、ナルトが辛そうに目をそらす。
安心も束の間、リエの動悸が一気に跳ね上がった。
激しく胸を打つ鼓動に、息が詰まりそうになる。
そんなリエを見るに見かねたタズナが、彼女の腕を強引につかみ歩き出した。
「……タズナ、さん?」
「ワシも行こう。そうすれば先生の言いつけを破ったことにはならんじゃろ?」
震える足を必死で動かし
リエとサクラはタズナと共に、隣で未だに激戦するカカシの脇をすり抜け
頭を垂れるナルトを尻目にサスケを探した。
サスケの姿を見て、皆絶句した。
サクラの瞳は見開かれ、タズナは思わず眉をひそめた。
サスケは身体中に千本を受け血塗れだった。
閉じた瞳は、ピクリとも動かない。
「サ…スケ……?」
ザワリと、大きく風が揺れた。