第11章 波の国〜想い〜
「……ん…超濃かった霧がだんだん晴れてきたぞ」
「あそこに二人!睨みあっているみたいだけど……」
タズナとサクラの言葉に、不安が拭えないままリエは目を凝らした。
だがまだ晴れきらない霧のせいで、それが誰なのかの確認まではとれなかった。
「動いた!!」
じんわりと霧が晴れていく。
そしてそこに映ったのは……
「きゃぁっ!」
「な、なんじゃ?!」
強いチャクラの衝撃が爆風を伴い飛散した。
そらした瞳を戻し、三人はもう一度戦況を見極める。
そこには、カカシの右腕が敵の心臓を貫いている姿が映った。
それは相手の死を意味している。
だがその敵は再不斬ではない。
サスケやナルトと刃を交えていたはずの
白だったのだ。
彼は身を挺して再不斬を守った。
命をかけられるほど、少年は再不斬を大切に思っていたということだろう。
大事な人を守れて、彼は幸せだっただろうか?
目の前の”死”から目を逸らすことなく、リエ達は彼の最期を見届けた。
そして忍の世界の厳しい現実を改めて思い知る。
勝つ者がいれば死ぬ者もいる。
これが自分の生きる道なのかと。