第8章 波の国〜出発〜
第七班は下忍になってから着々と任務をこなし、日々忍の道を歩んでいる。
そして今も任務を達成し、七班の面々は報告の為に火影の元へ訪れていた。
本日完了させた任務の依頼者は、マダムしじみ。
彼女の愛猫トラの捕獲が依頼内容だ。
任務といっても、内容は日々このような簡単なものである。
下忍の中でも新米である彼らに与えられるものは、特に易しいものばかりだ。
しかしそんな任務に不満を持っている者がいた。
ナルトと、サスケだ。
「火影のじぃちゃん!オレってば、もっとスゲェ任務をやりたいってばよ!!!」
そんなナルトに、火影の隣で任務の振り分けをしていたイルカは青筋を立てて憤慨した。
「バカヤロー!!誰でも初めは簡単なものから、場数を踏んでいくもんだ!!!」
火影も困ったようにため息をついて、イルカに続ける。
「ナルト。お前には任務がどういうものか、説明しておく必要があるな」
納得いかず我が儘を言うナルトに、火影は依頼についての説明を始めた。
木ノ葉の里に寄せられる任務は子守から暗殺まで、実に多種多様な内容である。
それらは難易度の高い順にA~Dまでのランクに分けられ、長から下忍までが能力に合わせて消化していく。
そして達成の暁には、里へ報酬金が入る。
通常下忍の任務はD、もしくはCランク。
下忍の中でもカカシ班は新米。
故に一番安全度の高いDランクの仕事のみを割り振られているのである。
と、火影自らここまで説明したのにも関わらず、ナルトは馬の耳に念仏状態だ。
意固地になった彼に、結局火影の方が折れた。
「わかった。そこまで言うなら、Cランクの任務をやってもらう。ある人物の護衛任務だ」
それを聞いてナルトは目を輝かせた。
「入ってきてもらえますかな」
その言葉を合図に、依頼者らしき眼鏡をかけた初老の男が現れた。
年齢の割に中々がっしりした身体をしているが、まだ日も高いというのに酒を飲み、横柄な物腰だ。
「なんだぁ?超ガキばっかじゃねーかよ。ワシは橋造りのタズナという。国に帰って、橋が完成するまでの間、超護衛してもらう!」
こうして、七班にとっての初めての国外任務が始まった。
後にこの任務が、各自の忍としての成長に大きく影響を及ぼすことになることになるとは、このときは誰も思っていなかった。