第33章 明日へ
「そうだシカマルくん。ひとつ、お願いしてもいい?」
そう言って、リエはポケットから取り出したものをシカマルに見せる。
「…鍵?」
「私の家の鍵。本当は今からこっそりヒナタの家に置いてこようと思ってたんだけど、シカマルくんからヒナタに、渡してもらってもいいかな?
…ヒナタにはたくさん心配かけてるのに、私結局何も言えなかったから…本当に申し訳なく思ってるんだ。それでもやっぱり、今のままじゃ会いにくくて…。
でもヒナタは、今までもこれからも、私の大事な親友だから。帰ってきたら一番に会いに行く、その約束の証として、この鍵をヒナタに預かってもらいたいんだ。帰ってきたら心配かけたことも、黙って出て行ったことも、しっかり謝るから…今は許してほしいって、伝えてもらえたら嬉しい」
わかった、とシカマルが鍵を受け取ると、リエはありがとうと笑った。
お世辞にも昔のような輝かしい笑顔ではなかったが、それでも今のリエにとってなら上等な笑顔だろう。
「じゃぁ、またね。シカマルくんに今日会えて良かった」
「あぁ…気をつけてな」
「ありがとう。行ってきます」
シカマルの見送りを背に、リエは再び歩を進める。
里の出入り口の門の前まで来ると、リエは足を止めた。
ここにもまた、リエを見送ろうと待っていてくれた人物がいたのだ。