第32章 未来の為に
「あの子は木ノ葉を裏切ったりしませんよ。嘘はつけない、正直な子ですから」
「……それはそれで、忍としては困るんだがな」
カカシが綱手にそう進言すると、彼女は呆れたようにため息をついた。
綱手はリエが里を出てサスケの元へ行くのではないかと心配していたようだが、行く気ならあのとき意地でもついてっただろう。
リエが話してくれたこと、その思いに偽りはない。
そう、カカシは確信していた。
「……まぁ、仕方ない。このままここに縛りつけておいても今のままではどうしようもないのは確かだ。多少不安はあるが…だからと言ってお前をつけるわけにもいかないしな」
「俺はリエと一緒に旅に出るっての、大歓迎ですけど?一人旅も心配ですしね」
あははと笑うカカシを、綱手がふざけるなと一喝する。
「お前の話によれば、空風の守り神とやらがリエについているんだろ?少なくとも、身の上は安全だ。
尾獣を狙う暁の件もあるし、ナルトは自来也と共に修行に出すことになった。サクラは私の元で修行を積み、医療忍者として育てる。これでリエもしばらくいないとなれば、現状第七班の部下はゼロ。下忍がいないとなれば低ランクの仕事を回す必要もない。お前は上忍師ではなく上忍として、任務三昧の日々が送れるな。喜べ」
「……それはどうも…」
ニッと笑う綱手を見てカカシは思う。
これからは今まで以上にこき使われるな、と。