第29章 音の誘い
「私はサスケくんの為なら何だってするから!お願いだからここにいて!復讐だって手伝う!絶対私が何とかしてみせるから…だから……ここに……。
それがだめなら…私も一緒に連れて行って……」
リエならきっとそうは言わないだろうな、などと思いながらも、
泣きながら必死で止めてくれる“仲間”の存在が、柄にもなく嬉しかった。
それでも、もう決めたのだ。
力を得る為にここを出ると。
仲間との繋がりを断ってでも、やり遂げないといけないことがあるから。
その決意のもとリエという一番大切で大きな存在を手放してまで出て来た今のサスケにはもう、サクラの言葉を聞いても引き返すなどという考えに至るわけもなかった。
「やっぱりお前……うざいよ」
“あのとき”とは違う意味を込め、皮肉めいた笑みを浮かべてそう言い放つ。
そして涙するサクラの背後を取り、サスケは彼女の意識を奪った。
「ありがとう」
そう告げて…。
サクラをベンチに寝かせると、それきりサスケは想いを断ち切るように里を振り返ることなく歩き出した。
風が吹き、木の葉が舞う。
彼の元に四人の音忍が現れるのは、もうすぐのことだ。