第25章 木ノ葉崩し
「なぁイルカ先生……なんで人は、人の為に命をかけたりするのかな」
そう問うナルトに対するイルカの答えに、リエもサスケも耳を傾けた。
「人間が一人死ぬ。なくなる……過去や今の生活、そして未来と一緒にな。たくさんの人が、任務や戦争で死んでいく。それも驚くほどあっさりと…簡単にな。
死にゆく者にも、夢や目指すものがある。しかし誰にもそれと同じくらい大切なものがある。両親、兄弟、友達や恋人。自分にとって大切な人達。互いに信頼しあい助け合う、生れ落ちたときからずっと大切に思ってきた人たちとの繋がり…そしてその繋がった糸は時を経るに従い、強く太くなっていく。
理屈じゃないのさ…その糸を持っちまった奴はそうしちまうのさ。大切だから……」
その言葉を聞いて、リエはチラリとサスケを見る。
イルカの言う”繋がりの糸”が本当にあるならば、サスケと自分は切っても切れない程に強い糸で繋がっているだろうとリエは思う。
大切な人。
自分の全てを投げ打ってでも守りたい人。
絶対に失いたくない、愛しい人。
そう、理屈じゃない。
心が、身体が、サスケを求めている。
サスケの手を握ると、彼も返してくれた。
彼は今、どんなことを考えているのだろうか?
雨が止み、雲の合間から光が差し込んできた。
いつまでも悲しみに暮れ、下を向いてばかりはいられない。
前を向いて、歩いていこう。