第25章 木ノ葉崩し
花びらが会場を包むように舞った。
観客達は一人、また一人と頭を垂れていく。
すぐさま幻術だと気付き、リエは印を結んで幻術を解いた。
青い果実 25
会場に目をやると、いつの間にか会場に降りていたテマリとカンクロウが我愛羅を連れて会場を出て行き、そしてその後をサスケが追っていく姿が見られた。
観客席では、カカシやガイなどの中忍試験を監督、見物していた木ノ葉の忍達が、眠っている観客を避けながら襲い来る敵と戦っている。
額当てから、敵は砂の忍だとわかった。
火影は風影に捕らわれ、街の方からは黒い煙が上がっている。
「これは…どういうこと?まさか、同盟国の風の国が裏切って木ノ葉を…」
「どうやらそのようだ」
リエの呟きに答えたのは、シノだった。
彼もまた幻術を破り、様子を伺っていたようだ。
しかし彼は今まさに行動を起こそうとしていた。
「シノくん、どこへ…?」
「俺はあの砂忍を追う。なぜなら、あの砂の忍は俺の対戦相手だったからだ」
カンクロウのことを言っているのだろう、そう言うとシノは一人で彼らを追いかけて行ってしまった。
リエとて、一人で砂の三人を追って行ってしまったサスケが心配だった。
正体がわからない、我愛羅の砂の殻から出てきた謎の手。
あれは普通のものではない。
背筋が凍るような、凄まじい力を感じた。
サスケの元へ行って、彼の無事を確認したい。
……しかしここで、自分勝手に彼らを追いかけてもいいものだろうか?
火影がいる場所をもう一度見ると、いつの間にか結界のようなものが張られていた。
よく見えないが、きっと火影もあの中で戦っているのだろう。
皆、戦っている。
里の危機に、里を守る為に。
サスケの元にはシノが向かってくれた。
シノとサスケならば、大丈夫。
彼らは強い。
自分が思っている以上に、ずっと。
彼らを信じて、リエはここで戦うことを決めた。
いち、木ノ葉の里の忍として。