第23章 強くなるために
新たな力を手に入れてから、早半月。
風使いとしての修行を一度切り上げ、リエは試験までの間指導を頼んでいたカカシを探していた。
この半月の間、空風の力を手に入れたことで感覚が変わり普通にチャクラを練ることも難しくなったので、一からチャクラコントロールの修行もしつつ、風使いの基礎となる風の声を聞くことに時間を費やしていた。
しかしそれらの修行では、ほとんど身体を動かさない
いや寧ろ、精神統一を必要とする作業である。
すっかり身体が鈍ってしまったリエは、風牙がとりあえずの合格点を出してくれたところで、体術の修行へと切り替えることにしたのだ。
青い果実 23
「ねぇ、カカシ先生どこにいるかわかる?」
しかし、その修行の成果は出ている。
誰もいない空間に向かってリエがカカシの居場所を問うと、ピュウと風が吹き始め、しばらくしてリエの周りに風が集まって来た。
「……こっち?随分辺鄙な場所にいるんだね、カカシ先生」
囁くようにサワサワと吹く風からは色んな声が混じって聞こえるけれど、集中すればなんとなく理解出来るまでになった。
こちらの言葉を風が理解しているのか、空風の力に反応しているのかはよくわからないが、木ノ葉の風はとても穏やかで協力的だった。
本来の使い方とは違うのかもしれないが、空風の力は今のように人探しにも役立つようだ。
里のことを一番知っているのは、もしかしたらこの里に吹く風なのかもしれない。