第3章 予兆
「あのさ…オレ、豪火球の術会得したんだ。父さんに…やっと認めてもらえた」
「本当!すごい…よかったねサスケ!おめでとう!!」
まるで自分のことのように喜んでくれるリエの満面の笑顔を見ながら
サスケは自分の口元の火傷に薬を塗ってくれた母の言葉を思い出していた。
『あなたには何も言わないみたいだけど、リエちゃん、サスケのことすごく心配しているわよ。あんなにあなたのことを想ってくれるなんて、幸せ者ね、サスケは。サスケも、リエちゃんを大事にしてあげなさいね』
「……ありがとう」
オレを心配してくれて。
“うちは一族”とか“イタチの弟”としてじゃない、
“うちはサスケ”という、オレ自身を見ていてくれて。
そういう意味をこめて、そう言った。
もっと強くなりたい。
サスケは切にそう思う。
父に認めてもらいたくて、兄に追いつきたくて、強さを求めてきた。
でも今は、それだけじゃなくて。
それ以上にもっと……
自分に向けてくれるのリエの笑顔を
リエ自身を
自分の手で、守りたいんだ――――