第20章 思いの強さ
「サスケ、三次試験のときはあの力を自分で押さえ込むことが出来たみたいですけど…でも、二次試験のときは本当に…目に見えるほどにチャクラが溢れていて…それもなんというか…すごくゾッとする感じの禍々しさで…
そんなだったのに、サスケ、笑ったんです。なんだかあの力に取り憑かれてしまったように…見えて…」
あのときのサスケの様子をカカシに伝える為に言葉にしたが、色々思い出して声が震えた。
「…怖かった。そこにいるのは間違いなくサスケなのに、サスケじゃないみたいで…
あの呪印のせいで…大蛇丸と会ったことで、サスケが変わってしまいそうで…サスケがどこかに行ってしまいそうで……
あのときからずっと、不安が消えないんです」
音忍の腕をためらいなく折ったサスケ。
どれだけ怒っていたとしても
人が苦しむのを楽しむかのように笑った、彼の顔が忘れられない。
弱音と共に思わず零れた涙を慌てて拭う。
泣いている暇なんか、ない。
「…カカシ先生、中忍試験本戦が始まるまでの間、私に修行をつけてくれませんか?サスケを…皆を守れるように、もっと強くなりたいんです。お願いします」
そう言うリエのカカシを見つめるその赤く潤んだ瞳には、固い決意が秘められていた。
『夢、というか目標は、強くなること。立派な忍者になりたいと思っています』
カカシは自己紹介のときにそう言ったリエの姿を思い出した。
あのときとは比べられないほどの強い意志が、彼女から感じられる。
様々な体験を得て、彼女は色んな意味で本当に強くなった。
「わかった。俺でよければ協力しよう。
それからサスケのことだけど、心配いらないよ。サスケはリエといるとき、とても幸せそうだ。そんなサスケがリエを置いてどこか行っちゃうわけないでしょ。だいじょーぶ、ね」
カカシが安心させるようにそう言って頭を撫でると、リエは柔らかく微笑んだ。