第2章 出会い
「……ねぇイタチ。今度私に手裏剣術教えて?」
「リエくらい扱えたら充分だと思うが」
「私なんてイタチの手裏剣術の足元にも及ばないよ。それから、体術も教えてほしいの。この前サスケと一緒に修行したんだけどね……サスケ、すごく強くなってるから…私も負けたくないんだ。
ね、時間あるときでいいから、私の修行に付き合ってくれる?」
サスケはサスケでリエより強くあろうと頑張っているのだろうと思いつつ、イタチがわかったと肯定の言葉を返すと、リエは大きな目を輝かせて喜んだ。
その姿が愛おしくて、自然とイタチの目と口元も弧を描く。
「あ、サスケ!かーえろー!」
帰り道で修行中のサスケの姿を見つけたリエが彼を呼ぶと、服や顔を汚し、息を上げたサスケがこちらを向いた。
その様子から、リエと同じくサスケも長いこと修行に励んでいたことが見て取れる。
「リエ……あ!兄さん!お帰り!」
彼もまた、イタチに気付くとリエと同じように駆けてきた。
照れているのか、それともリエの前だから格好つけていたいのか、飛びついて喜ぶことはしなかったが。
左手にリエ、右手にサスケと手をつなぎ、三人で仲良く岐路につく。
リエもサスケも言いたいことが山ほどあるようで、会話が止むことはなかった。
「サスケ、イタチが私の修行に付き合ってくれるって、さっき約束してくれたんだよ」
「えっ…!!本当兄さん?!ずるいよリエばっかり!オレにはまた今度って言うのに……」
「サスケは私より強いじゃない。私、絶対サスケに追いつくんだから」
「……リエがオレに追いつける日なんて来るのか?」
「も~サスケ!!」
サスケが笑っていて、リエが笑っている。
目の前ではこんなにも温かく穏やかな光景が広がっているのに、イタチの胸中には不安が渦巻いていた。
ーーーいつまで、この幸せが続くのだろうか。
イタチは愛する二人の笑顔を見て、二人が気付かない程度の影を落とした。
誰よりも、何よりも大切なこの二人はたとえ何があろうとも…
たとえ恨まれようとも、憎まれようとも、必ず、守る。
そう、誰に気付かれることもなく、己の心に固く誓った。