第17章 中忍試験二次試験〜死の森〜
“仲間同士がはぐれた場合、当人の確認をとること”。
提案はサスケによるものだった。
敵は忍、変化もすれば幻術も使う。
姿や形だけでは冷静な判断も下せないのだ。
故に四人の中で合言葉が決まった。
忍歌を引用したものだ。
サスケが言うそれを聞いてサクラは自信満々気に、リエは自信なさ気に頷くが、ナルトの頭の上では明らかにクエスチョンマークが浮かんでいる。
そのとき強力な突風が彼らを襲った。
周囲の木々をなぎ倒し、地表を巻き込み吹き荒れる。
サスケは傍らにいたリエを抱え、その突風を利用して周囲に茂る植物の狭間に身を隠した。
「あ、ありがと…サスケ」
「いや……あいつらは大丈夫か…?」
再び表に出ると、サクラが二人の名を呼び駆け寄ってきた。
それをサスケが止め、合言葉の確認をする。
サクラは完璧にそれを復唱した。
そして次に出てきたナルトにも確認を促す。
しかし合言葉を言い終えた彼に向かって、サスケは顔を厳しいものに変えクナイを投げつけた。
「えっ!?」
反目し、サクラは狼狽した。
そこにある姿はナルトではない。
試験前にアンコと悶着を起こした草忍のくノ一だった。
「てめーが土ん中でオレ達の様子を伺っているのはわかっていた」
「ナルトくんの合言葉を聞いたときの反応を見てれば、あんなに自信満々に答えられるはずはないってわかるわ」
女はサスケとリエの解答に対し、満足気に口角を上げた。
「なるほど……思った以上に楽しめそうね」
突如、三人の体に緊張が走り抜ける。
彼女の実力は先ほどの刺客とは比べものにならないだろうと、本能で感じ取れた。
「私達の地の書、欲しいでしょ…キミ達は天の書だものね……」
女はポツリと呟くと、異様なまでに伸びた舌に巻物を絡ませ、あろうことか丸呑みしたのだ。
そう、まるで蛇が獲物を捕食するかの如く。
あまりの光景に三人は息を呑んだ。
蛇の舌のような体質変化は、おぞましいほど不気味だった。
「さぁ…始めようじゃない。巻物の奪い合いを……命懸けで!!」