第17章 中忍試験二次試験〜死の森〜
サスケが焦ったそのとき、男を狙いすましたようにクナイが迫撃した。
男はそれを避け、そのまま空中へと舞う。
「逃がすか!」
クナイはナルトによるものだった。
サスケは男の鼻先を掠めたそれをチャクラで足底に吸着させると、更に追撃させた。
男は切迫しながらも辛うじて身を翻す。
しかし空中で体勢を立て直せずバランスを崩した男の懐に、サスケは迷いなく踏み込んだ。
男の肩口をサスケの握るクナイが襲う。
その刀身は深々と突き刺さり、血の飛沫がサスケの顔を汚した。
激しい攻防の末。
結局不意打ちにも襲撃を試みた男は、手傷を負いその場から離脱した。
辛くも危機を回避した四人は、今後の対策を練るべく身を固めたのだった。
「ごめんなさい…私、また足手まといに ……」
サスケの顔についた返り血を拭いながら、申し訳なさそうに言うリエの頭をサスケがポンポンと優しく叩く。
お前が無事でよかった、そう言うように。
リエは奥歯をぐっと噛み締める。
悔しくて、情けなかった。
忍術が使えるようになって少しはサスケに追いつけたと思っていたのに…この様だ。
実践になったら役立たず。
いや、ただの役立たずならまだしも、これじゃぁただのお荷物だ。
((サスケはいつも私を守ってくれているのに……私は何も出来てない。
…この手で守りたい。大事な人を。大事な仲間達を))
自分の手を強く握り締めると、修行でついた傷がひどく疼いた。