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(R18) Moulin Rouge (HQ)

第16章 xxx ending √1:TORU



 荒々しい呼吸だけが残る。

 愛の余韻。名残惜しさ。
 射精したあとの気怠さなんて、ちっとも気にならない。腰にひびく疲労すら、今の俺には、愛しく思えるから。

 くたりと横たわるカオリ。

 覚えてる。初めて出会った日のこと。ツン、とした印象の横顔。美人だと思ったのはホントだよ。でも胸がザワザワした。

 大嫌いだと思った。
 殺したいと思った。

 羨ましかったんだ。誰にでも愛されてて、何より、俺の最愛であった彼と仲睦まじくする君が。

 嘘ついてごめん。
 傷つけてごめん。

 最低だよね、俺。自分の都合でひどく傷つけた。人間として、何より、男として、最もしてはいけないことをした。

 二度と、会うことなんてない。そう思ってた。死の淵に立たされて、でも死ねなくて、絶望して無意識に向かった先。

 クリスマスソング響く商店街。
 思い出の、あの街角で、君は俺を助けてくれた。嘘かと思った。ああ、ついに幻覚が見えるって。でも、嘘じゃなかった。

 ──君はたしかに、ここにいる。


「カオリ、……俺ね、」


 眠りに落ちてしまった彼女。

 伏せた瞼。カールしたまつげ。初めて俺に【思いやる心】をくれたひと。俺の大切なひと。

 俺はここにいていいのかな。君の側にいる資格はあるのかな。ずっと、ずっと、一緒にいてもいいの?

 ねえカオリ、大好きだよ。

 この選択が合ってるのかなんて分からない。俺は、本当は、君の側にいちゃいけないのかもね。だってそうだろ。俺たちの関係は、いや、俺が君に抱くこの感情は【依存】と呼ばれても仕方ないのだから。


「でも……カオリの、側にいたい」


 それでも、誰に何を言われても、側にいたいんだ。永遠に。君の隣を歩いていたい。

 俺はまた間違ってるのかもね。

 でも、どうか、今だけは。
 この温もりの中で、──眠らせて。









「愛してるよ、カオリ」











【TORU】___fin.
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