第1章 想い出語り①
藤宮くんの借りた本の返却期限の日は、私は図書当番ではなかった。
本を読んだ感想が聞いてみたかった私はがっかりしたけれど、いつものように受験勉強をする為に図書室へ行った。
藤宮くんは図書室の1番奥の机に座って、本を読んでいた。
迷ったけれど、藤宮くんの机のそばの本棚に用があるふりをしながら近づくと、目が合ってしまった。
「図書室って何時まで開いてるの?」
突然話しかけられたことにびっくりしたけれど、18:00迄だと答えると「18:00迄には全部読めると思うから、ちゃんと今日返す」そう言うと、また本を読み始めた。
私は何故だか嬉しくなって、「全部読んだら感想が聞きたい」と勇気を出して言ってみた。
藤宮くんはちょっとびっくりしたような顔をしたけれど、分かったと返事をくれた。