第4章 スポーツの秋
「読書の秋、食欲の秋、スポーツの秋、芸術の秋、行楽の秋、あなたはどれがお好みですか?」
「恋の秋だ。名前さん一緒にデートしませんか」
「いいんですかバスケ部、スポーツ選びましょうよ」
2学期が始まりバスケ部がWCに向けて頑張っているのが目立ってくるこの季節、私もそのバスケ部の1員だった。選手ではなくマネだけれども。
マネの立場だからこそ彼にはバスケを頑張って欲しいと言うのにいつもそう、練習の前と終わった後に私をからかうのだ。
「…自主練してくださいよ」
「練習したらデートしてくれるのか!?」
「いえ、私はあなたにスポーツの秋を頑張って欲しいので」
「…つれないなぁ」
「つれられません」
秋だからスポーツ。というのはある意味違うかもしれない、けれども夏の暑さも和らいできたのだから練習はもっとできるだろう。
応援しますから頑張ってくださいよ。と彼に言うとまた恋愛の話に戻る。だから練習頑張ってって言ってんのに。
「ほら、黄瀬君頑張ってますよ、見習ってください」
「…」
「頑張ったら帰り一緒に帰りましょ」
「本当か!じゃあ頑張ってこようじゃないか!」
彼の単純さに思わず溜め息を吐くと彼は既にゴールに向かってシュートを放っており、綺麗とは言えないフォームではあるもののリングを潜った。
そして私を見て「スポーツの秋だね名前さん!」とキメ顔しながら言ってきたが笠松さんに殴られていた。痛そうにしていたがまあ彼は黄瀬君ほどでもないが殴られなれているのではないだろうか。
「まあ、日も短くなってきたし…それを口実に帰るか」
恋愛の秋ができるのはまだ先かなぁ。と思いながらゆっくりと自主連用のドリンクを作ろうとスクイズの籠をとった。
浮かれているのは彼だけではないようだった。