第4章 【裏】私だけのひと。 ~明智光秀~
飲み込まれるような快感が二人を襲う。
「んんっ…み、つひでさ、ま…っ」
焦らされた分だけ大きい波がやってくる。
甘美な締め付けに耐えながらも光秀はゆるゆると腰を動かし始めた。
ずぷっずぷっと交わる音と二人の荒い息が部屋を埋め尽くしていく。
「あ、んっ…ふっ」
もっともっと、と言う様に琴子は足を光秀の腰に絡めて、自らの秘部を擦りつける。
彼女の痴態に光秀はごくりと唾を飲む。
「…こんなあなたを見られるのは私だけ…」
それは確かめるような口調だった。
光秀が欲しいと言わせようとしたことも合わせて考えると。
(もしかして…犬千代や秀吉様に妬いて…?)
そんな考えが頭をよぎったが、光秀の腰の動きが早まって思考は吹き飛んだ。
「あ、あ、あ、あ…あぁぁ!」
びりびりとした感覚が体中を支配する。
ぐんっと中の光秀が質量を増すのを感じて、琴子は体を弓なりに反らして上り詰めた。
くたりと横たわる琴子を光秀はしっかりと抱き寄せる。
「すみません…無理をさせてしまいましたね」
眉を八の字にして琴子を気遣う光秀。
「いえ…」
ふふふ、と琴子が笑うので光秀は不思議そうな顔をする。
「光秀様は本当にやきもち焼きですね」
「……えぇ、そのようですね…情けないことに」
「情けないだなんて…それだけ、想ってくださってるんだと思えて、とても嬉しいです」
にこりと笑う琴子がとても愛しくて、光秀はその額に口づけを落とした。
「いつもあなたを独り占めしたい。部屋に閉じ込めて、誰の目にも触れさせないようにしたい…そんなことを、私は考えているのです」
「光秀様…」
琴子は光秀の頬に唇を押し当てる。
その行為は、光秀のもやもやとした嫉妬の炎をそっと消し去っていった。
End