第1章 第一章
◆
「へぇ…主さん、隠密だったんだ。」
熱い雑炊をフウフウと冷ましながら蛍丸が主に聞いている様を、山姥切を含めた4人は、その愛しさに鼻血がでそうになっていた。
「うん?…そうだなぁ。でもそんなかっこいいはあんまして…。いや、あったな。」
「え!なになに?蛍、とっても聞いてみたいなぁ。」
「蛍や、そのような奴の話よりも、もっと面白い話をこのじじいがして…」
「自分の主を奴呼ばわりするんじゃねえ!!」
三日月の頭頂部に、今度は鍋の蓋が縦にめり込んだ。
「で、かっこいい話っていうのは何なんだ?気になってしょうがないぜ。」
今度は鶴丸が、純粋な子供の様に主に話を催促した。それに山姥切も同調する。
「あぁ、俺も聞いてみたいな。」
実際、主が刀達に自分の過去の話を語った事が無かった。なので、聞いてみたい、と心から思った。
「んー、よしわかった。話してやろうか。」
少し悩んだようだが結局、主は刀達の熱い視線を感じながら、ポツポツと自分の過去の事を話始めた。