第1章 第一章
「ここがこの本丸の執務室です」
「へぇ、おっきいなぁ」
蛍丸は感心したように声を上げるが、彼の目線の先は隣の物置に行っていた。
「そこは物置ですよ」一期がそう蛍丸に忠告しようとした時、物置の立て付けの悪すぎる引き戸がもの凄い音を立てて開いた。
「鶴丸国永 推参!…どうだ、驚いたか?」
「鶴丸殿。これは一体なんの真似ですか?」
尻餅をつきながら、急に出てきた鶴丸を睨みつける。さっきまで自分の後ろにいたのに、どうやって物置に入ったんだ?
「いやぁ、一期一振。お前がそんなに驚いてくれるなんて嬉しいよ」
「驚かされた身にもなってくださいよ!」
苛立ちからか、予想していたよりも大きな声が出た。それと同時に(蛍丸が怯えているかも)と先程の自分の声量を恥じた。