第30章 White November ーデイダラ、角都ー
初雪がそのままずっしり積もった朝。
「こりゃー今年は雪が多い冬になるかなー」
ザクザクと雪掻きしながら藻裾がもうもうと白い息を吐く。
「まぁホワイトクリスマスはいいよな。何せ盛り上がる!何が盛り上がるって番う相手の居ねえ奴をからかうのが最高に面白くて盛り上がる!な!ロンリーテロリスト!」
バンとスコップで尻を叩かれて、デイダラが目を吊り上げる。
「…テメエ久し振りに現れたと思やあいっ変わらずロクでもねぇな?うん?もう帰れ。さっき来たばっからしいがもう帰れ。百年くらいしたらまた来い。待ってねえから。な?」
「な?じゃねえデスよ。百年くらいしたらオメェなんかもう死んでんだろ?言っとくけど来たからには墓掘り起こしてでも挨拶させっからな、アタシは。成仏してんじゃねーぞ、ダラッダラ」
「相変わらず百年後もフツーに生きてる気かよ、オメェはよ」
「当たり前だ。墓荒らしするくらいにゃ達者でいるよ、アタシは」
「そんな達者はいらねェんだよ、バカ。頼むから寿命くれェ人並みにしとけ。前も言ったけどよ。マジで迷惑だぞ、うん?」
「何だよ、折角雪掻き手伝ってやってんのに随分な言い様だな。食うぞ」
「食えるモンなら食ってみろよ。くっだらねぇ事言いやがんな。あーつまんね…ぅわ、うわわわわ!!や、止めろ、何だテメエ!大口開けて詰め寄って来んな!スゲー怖ェ!スゲー怖ェぞ!」
「食えっつうから食ってやるってんだよ。うるせぇな。黙って頭ァ出しやがりなさい」
「誰が出すか!」
「オメェが出すんデスよ、バカモノめ。言い出しっぺはオメェだぞ?頭からケツまでバリバリ食ってやる」
「いや待て。待て待て。俺なんか食っても旨くねぇぞ。もっと旨そうな奴にしとけよ、うん?」
「旨そうな奴なんかいねぇだろ、ここ」
「ヒジキ爺はどうだ、うん?」
「アタシャ肉食だって何回言やわかんだ。健忘症か?若年性アルツハイマーか?」
「鮫がいるぞ。鮫を食え」
「あんなデケーの食い切れるか」
「食い残しは埋めといて後で食えよ、うん」
「アタシを羆と一緒にすんな」
「てんで一緒じゃねえか」
「テメエ前頭葉齧り取るぞ?鶴見中尉になりてェんデスか?祝ゴールデンカムイアニメ化決定。人皮ベスト着せてやっかコラ」
「止めろ。頭から変な汁垂らして生きてくくらいならオイラ羆に食われて死ぬ。金神万歳」