【100プリ】 消えない過去と生きる今(ルイとのお話)
第14章 名付けることのできない気持ち
ルイ「・・・・・・・・・」
ルイ「・・・・・・・・・君は、本当に・・・馬鹿だよ」
あの夜、零が落とした
白い花のコサージュは、
零の
ルイを好きになることはないという
意思を聞いてからなぜか、
ずっと渡せずにいた。
ルイが廊下を歩いて行くと、
シュタインでは珍しい
賑やかな声が聞こえてくる。
ルイ「・・・・・・?」
一歩ずつ近づいていくと、
そこにはシュタインのメイドたちや
アルバートに囲まれる
零の姿があった。
「本当に頂いてもいいんですか?」
メイド「はい・・・、昨夜の手違いは私たちのミスでしたので」
アルバート「ミスではなく、落ち度だと思いますが・・・」
零はワインを両手に抱えて、
アルバートに冷めた視線を送る。
「・・・アルバートさん、女性に優しくない男性は好かれませんよ」
アルバート「・・・なっ・・・けじめとして言っただけで」
アルバートは
眼鏡のつるをくいっと上げると、
零を見下ろす。
アルバート「本当に口の減らないプリンセスですね、あなたは」
「その言葉、そっくり貴方にお返しします」
そんな二人のやり取りに、
メイドたちの明るい声が響いていく。
ルイ「・・・・・・・・・」
遠くからその光景を
どこか眩しそうに眺めていると、
零がルイに気づいて
静かに微笑んだ。
「ルイ」
ルイは
白い花のコサージュをポケットに閉まうと、
零の元へと
歩いて行った・・・――。