【100プリ】 消えない過去と生きる今(ルイとのお話)
第13章 氷の国王と氷の貴公子
――・・・夜も深くなり、
パーティーが始まる時間が近づいてきた。
(・・・ルイはもう会場にいるのかな)
暗い廊下を歩いていると、
ウィスタリアの国旗が描かれた
ワインを抱えた女性が歩いている。
(・・・あれって、ルイの会社の従業員の方?)
手から落ちそうなワインを見て、
咄嗟に腕を伸ばして抱える。
従業員「・・・プリンセス!?だ、大丈夫です、プリンセスにそのようなことはさせられません!」
「そんなにかしこまらないで。落として割ったら、大変だから」
従業員の方は目を見開くと、
眉尻を下げて頭を下げる。
その時、
廊下の向こうから声が聞こえてきた。
メイド「・・・今日のパーティーどうなるのかしらね」
メイド2「ハワード卿は美しい方だけれど、仕事に対して厳しくて怖い方だと有名だし」
(ルイの、話・・・?)
メイド「失敗しないようにしないとね」
メイドさんたちは、
肩をすくめると立ち去って行く。
従業員「・・・シュタインのメイドの方々です。プリンセス・・・今のは」
今の噂話に、
ふとジルが言いかけた言葉が
蘇ってくる。
(ルイは、厳しい人だと思われてるのかな・・・)
「・・・ルイのこと、貴女も怖い人だと思う?」
従業員「厳しい方だとは思いますが・・・怖い、という言葉より誠実という言葉が似合う方だと存じ上げております。厳しいのは・・・会社を想ってのことでしょう」
その言葉に、私は頷いて思う。
(・・・ちゃんと、解ってくれてる人がいる)
「私も、そう思う」
ワインを抱える零と
従業員が話す姿を、
執務室から出て来たゼノは
足を止めて見つめる。
ゼノ「・・・・・・・・・」
ふっと唇に笑みを滲ませると、
ゼノはダンスホールへと歩き出した。
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