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【100プリ】 消えない過去と生きる今(ルイとのお話)

第11章 謎の男と不穏な動き


 そっと持ち上げると、
 飴のラベルが貼られている。

(これ・・・・・・あの時の・・・)

「どうしてこれ・・・」

ルイ「風邪薬・・・」

(風邪薬って・・・)

「飴じゃ風邪は治らないでしょ」

 微かに笑いながら言うと
 ルイは小さく息を呑んで、
 瓶から指先を離して視線を伏せた。

ルイ「・・・仕事を手伝ってくれたお礼」

 素っ気なく言われたけど、
 その瓶はほんのり温かくて、
 それは初めてちゃんと温かく感じる
 ルイの体温だった。

(・・・あったかい。ずっと買って持っててくれたのかな)

 瓶の蓋を開けて飴を一粒口に入れると、
 優しい味が口の中に広がっていく。

「・・・美味しい」

ルイ「・・・でしょ」

 小さく呟くと、
 ルイは不思議そうな表情を浮かべた。

「どうかした?」

ルイ「・・・・・・自分じゃわからなかった。こんなに、バニラの香りがするんだ」

「・・・今さら?」

 少し意地悪く言うと、
 ルイはまた視線を逸らした。

ルイ「人にあげたこと、ないから」

 ルイからもらった瓶は、
 キラキラしていてガラスの靴によく似ていた。

(・・・シドは、あんなこと言ってたけど)


シド「なあ、お前はルイに利用されてると思わねえのかよ」

「・・・どういう意味」

シド「言葉通りの意味だろ。経営者としてお前を見たら、良い宣伝材料じゃねえか」


(今、私が見てるルイが・・・全てだと思う。それに・・・)

 本能的に、ただ想う。

(・・・この人を、一人にしちゃいけない)

 瓶をきゅっと握りしめると、
 私はルイの瞳を真っ直ぐ見つめて告げた。

「ルイ・・・私、パーティーに出席する」

ルイ「・・・・・・っ・・・」

 目を見開くルイに、
 私ははっきりと告げた。

「プリンセスとして、この招待・・・お受け致します・・・――」





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