【100プリ】 消えない過去と生きる今(ルイとのお話)
第2章 ウィスタリア王国
大国・ウィスタリア・・・中世ヨーロッパの
古き良き伝統を受け継ぎ、
現在もたくさんの王侯貴族が暮らす。
現代と19世紀頃の建築技術が
織り成す街並みと、
独自に発展を遂げた文化に
世界中の人々が憧れる国。
整備の行き届いた活気ある街に、
穏やかに流れる風。
その風に揺れる、
色鮮やかな無数の花々と
優しい木漏れ日を落とす木々。
そして、少し小高い丘にそびえる
真っ白な壁と澄んだ青の屋根を持つ
壮麗なウィスタリア城。
私は今、そんなところにいる・・・――。
空港から城下を抜けて
お城へ向かう車中で、
ふと不思議な感覚に陥った。
(・・・初めて来たはずなのに、何・・・この感じ・・・・・・)
車の窓から流れる景色を眺めていると、
何故か『懐かしい』という感情が湧いた。
少なくとも私の記憶しているところでは、
この国に来た覚えはない。
だけど、車窓を流れる街並みに、
この国の空気に、
不思議と馴染がある気がした。